平成22年度 留学生だより(10)

スザン・バハデュル・アディカリ(ネパール)

自信

名桜大学 国際文化研究科 国際文化システム専攻 2年次
スザン・バハデュル・アディカリ(ネパール)

皆さん、「沖縄の生活はいかがですか」と聞かれたら「海がきれい」、「食べ物が美味しい」、「人がやさしい」等と答えるでしょう。一方「何を学び取りましたか」と聞かれたらおそらく首をかしげる事が度々あるでしょう。私も沖縄に来て6年目になります。振り返って見ると、私自身沖縄で様々な経験を通して、最も大切な事を得ている事に気がつきました。

私はネパールから憧れの国日本に参りまして、福岡で学ぶ機会を得ました。来日した当初、自分の想像をはるかに超える日本の発展した近代社会に驚かされました。ところが、現実の生活は夢とは程遠く、大変厳しいものでした。その後、沖縄の大学に入学しました。その時は嬉しくてたまりませんでしたが、経済的には学費と生活費を稼ぐため、日々懸命に働かざるをえませんでした。その当時、私はホテルのレストランで働いていました。日本の方々と一緒に働くという事は、私にとって日本語や日本の文化を学べる良い機会でした。しかし、働く時間が増えると、それによって勉強する時間も思ったように確保できなかったという現実がありました。「これ以上勉強が続けられない、もう諦めよう」という考えもありました。そのように日本での生活は混沌とした日々でしたが、それにもかからず懸命にもがいてきました。

そんな時、希望を与えてくれる出来事がありました。それは、同じレストランで私と一緒に働く60歳代のおばぁ達と暖かい人間関係が生まれた事でした。 彼女達はいつも笑顔で、元気なパワーを与えてくれました。ちなみに、ネパールでは60代になると「もう死んでもおかしくない歳だ。」と考えるのが普通です。一方沖縄のおばぁ達は笑顔で一生懸命仕事をしていました。「私はまだ若いのにもっと頑張らなきゃ」と思いました。実は、おばぁ達が頑張っている姿、即ち「生きる喜びの見本」が私の一番大きな力になったのです。私はその経験をきっかけに、「如何なる環境においても諦めずに最後まで頑張る事が人生の中で最も大切である」と実感し、それを成し遂げる「自信」を得ました。

沖縄地域留学生交流推進協議会によりますと平成21年5月1日現在沖縄県内における外国人留学生数が544人で、ネパール人留学生は11人です。さらに、我が大学ではネパール人留学生は私一人だけです。このようにネパール人留学生の数はとても少ないですが、全く異なる環境の内陸の国ネパールから、周辺を海に囲まれた沖縄に来たことは不思議な「縁」だと思います。今後も、沖縄で得た「自信」を基に自分の目標を達成するために頑張っていきたいと思います。さらに、日本で得た知識や経験を活かして、母国の発展や日本との交流にも一翼を担いたいと思います